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カイロプラクティック療法
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小林昌彦BCSc.のコラムです。


COLUMN-12 About cacking

Manualmedicine

クラック音の正体   (c)2002 

                           やぎやま徒手医学研究所 小林昌彦 BCSc.


◎バキバキって何の音?
いわゆる背骨の矯正といわれるモノでバキバキっとならす技術がある。
「ズレてる」といわれるところをバキッ!「もどった」という話だが、そもそもこの音って何だろう?

『軟骨のぶつかり合った音?』
No 背骨だけでなく、指でも牽引によってポキッという音が聞かれます。引っ張った ら双方の軟骨は離れていくのですから「ぶつかっている」わけではありませんよね。

『骨がこすれた音?』
No これも指の場合は接触していませんので違います。骨は音を伝えますが骨そのも のは鳴りません。「骨の音」がするのは骨折した時だけです。

『靱帯が引っ張られて?』
No 捻挫(靱帯損傷)の時のグキッという鈍い音が靱帯を引っ張った音です。靱帯が ポキッと鳴る時は引っ張られるどころか、断裂しています。

一般的に説明されていることには矛盾が多く、大きな誤解があるようです。
まずは正しく考えていきましょう。

ここでのポイントはポキッという音が牽引によって起こる事実でしょう。簡単に言えば「骨同士が引っ張られてるんだから、ぶつかっているわけではない」とい うことです。
残念ながら日本国内では整体、カイロを開業している方でさえ「骨の動いた音」などという説明をする人がいるようです。レントゲンもなかったような100年 前ならともかく、もう少し論理的に考えなくては・・・。
では引っ張られた関節に一体何が起こっているのでしょうか?
1947年にクラッキングに関する研究論文発表したイギリスの解剖学者RostonとWheeler-Hainesの話を聞いてみましょう。(もう半世紀 も前なんだね・・・)

クラック現象の説明文(c)やぎやま徒手医学研究所
〜キャビテーションCavitation〜
RostonとWheeler-Hainesの研究によって、クラック音は関節滑液内の溶け込んでいるガスの気化現象だということが分かりました。これは キャビテーション(減圧気化現象)という流体力学の分野ではよく知られた現象です。
コーラやシャンパンの栓を開けたときの「ポン」という音はこれと一緒の現象です。
圧力変化で関節内の潤滑液が気化するときに「ポコッ」と音が出て、その音が骨に振動してボキッと聞こえるわけです。
また気化したガスが再び液体中に融解されるのに20分かかるというのは、指や頚をポキッと鳴らした後しばらく鳴らないことを示しています。

◎キャビテーションによる治療効果
ボキッという音がズレを戻した音ではない・・・とすると、なぜ?何に効果があるのか?
●癒着を剥がす
クラッキング後に気化した関節の容積は劇的に増加(1.8mm→4.7mm)してます。その状態で運動療法を加えることによって、関節包など関節周囲の組 織の癒着を解除するには有効に働くということなのです。
●強力な神経刺激
背骨の関節包には、身体の現在位置の感覚情報を脳に伝えるための受容器がたくさんあります。関節包のストレッチによって受容器が興奮し(痛みではなくて) 強力な神経刺激を脳に伝えることになります。

◎クラック音(バキバキ)の危険性
やはりこうした医学知識なしに無闇にキャビテーションを起こす(バキバキする)のは危険です。強力な神経刺激のために一時的に痛みやコリを麻痺させる働き があるため、自分で頚などをバキバキならす人も多いようですが、長い目で見るとやめた方がいいでしょう。
●軟骨の損傷
軟骨そのものには痛みを感じる神経はありませんが、気泡が発生するときの衝撃波によって長い期間を経て軟骨の表面を細かく侵食、破壊している可能性があり ます。
●関節の不安定性
不必要にバキバキすることによって、関節を支えている靱帯や筋肉が必要以上にストレッチされ続け、関節の支えが弱くなります。弱くなった関節には、骨の増 殖、変形(生体防衛反応)が起こります。「指鳴らすと太くなる」というのはこの理由からです。
●神経のアンバランス
自らの運動によって鳴らす(クラッキング)関節の範囲は筋肉の位置によって限られています。自分で簡単に鳴らせる関節は「常に刺激される」わけですから、 実際は鳴らす必要がない関節なのです。逆に筋肉の配置から自分では絶対鳴らせない関節があるわけで、この「全く刺激されない部分」が「常に刺激される部 分」との間で神経的なアンバランスを起こします。
要は「バキバキするならその必要性があるかどうか?」ということが重要なのです。


結論:ろくな診断もなしに「ズレている→バキッ」はやめましょう。



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